大久保信子のきもの手ほどき

三勝のゆかた、夏のきもの、木綿、シルクウール、ウールを日常のお出掛け着の一つとしてご提案。
お江戸・日本橋の着こなし第一人者の大久保信子先生に各アイテムの楽しみ方のヒントを伺いました。

ゆかた

着る時期 5月〜10月

  • どこへ、はてな?
  • 着こなし、はてな?
  • お手入れ、はてな?

長板中形、江戸元禄、綿小紋、綿紅梅はどれも夏にふさわしい高級ゆかたです。季節の商品でご紹介したような品格を忘れないコーディネイトにすれば、お食事、観劇、目上の方へのごあいさつなどにも重宝します。

ゆかたなので基本は半衿をつけませんが、綿小紋のようにきものの柄に近いゆかたの時は、半衿をつけて足袋を履くこともあります。ただしその場合、絽や紗、麻の半衿を細めに。帯揚げはちらりと見えるのが粋。見えるか見えないかにします。最近ではファッションとして様々な着こなしを楽しむ人が増えていますが、必ず清潔感と涼やかさを出して下さい。

着た後に霧吹きで水をかけて夜干しで汗を飛ばし、そのまま次も着ることができます。汗をかいて洗濯する場合は、おしゃれ着用洗剤を溶かした水に、たたんだゆかたを入れてすすぎ、静かに押し洗いして軽く脱水。干す時はきものハンガーなど肩が真っすぐになるものにかけるのがベスト。シワをのばし、風通しのよい日陰に干し、気になるシワはアイロンをかけます。

夏きもの

着る時期 6月〜9月中旬

  • どこへ、はてな?
  • 着こなし、はてな?
  • お手入れ、はてな?

夏はそれほど正装が必要な場所はありません。絹紅梅のきものが一枚あれば、場所によって帯を正絹の絽、紗、羅にしたり、カジュアルの際は麻や木綿にしたりと使い分ければ、ほぼどこへでも着ていけます。

とにかく涼しいことが魅力です。夏のきものは、見た目の涼感が必要です。最近では夏用の刺繍半衿などもありますが、すっきりとした麻や絽、紗などの白半衿を細く出して下さい。帯揚げも、絽や紗などの夏素材のものを細めに出して全体を爽やかにまとめてください。

絹物はとにかく汗を嫌うので、着た後は霧吹きで汗を飛ばしてください。普段のお手入れは、霧吹きで十分ですが、シーズンが終わったら悉皆屋(きものケア専門店)に出して、丸洗いでしっかりと汗じみのケアをしてください。汗を残したまましまってしまうと、絹が黄変(黄色に変色すること)してしまいます。一度黄変すると専門家でもとれないので気をつけてください。

木綿

着る時期 9月〜11月前半、3月〜6月
真冬は防寒対策をすればOK

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  • 木綿の裾さばき、はてな?
  • お手入れ、はてな?

木綿のきものは着心地のよいカジュアルなきものです。お友達とのお出掛けやショッピングの時などに着て楽しみましょう。気軽に着るならば、ゆかたの様に素足に下駄、半幅帯でも大丈夫。大人気分で着たい時は、足袋を履き、帯もお太鼓に結びます。木綿なので草履は履きませんが、格の高い下駄をコーディネイトすれば、寄席やクラス会、カジュアルなお食事などにも素敵です。

着こなしのコツは、軽快にすること。刺繍半衿や金糸銀糸が入った袋帯、帯締はせっかくの木綿が持つ素材の良さを消してしまうのでNG。例えば名古屋帯に、3分紐や一番細いタイプの丸ぐけ、細目で量感のないものをあわせるとちょうどよいバランスになります。帯揚げも、袷の季節なら無地のちりめんや綸子、単衣の季節なら無地感覚の絽を選ぶと軽快な着こなしとなります。

「江戸百撰」や川越唐桟みたいに、下にストーンと落ちるシルエットがきれいに決まる木綿の場合は襦袢、裾除けなどにこだわってみてください。裾除けならベンベルグ(キュプラ製)など、生地に適度な重みがあって、すべりが良く、静電気の起きにくいものがおすすめです。長襦袢なら、絹の襦袢を着ると裾さばきがよくなります。

着た後の点検で特に汚れていなければ、裏からアイロン(中に設定)を当ててシワを伸ばしてからしまいます。部分的な汚れの場合は、裏にタオルを当て、上から水を含ませたタオルで汚れた部分を軽くたたいて落せば大丈夫です。

洗濯する場合は、薄めたおしゃれ着用洗剤を溶かした水に、たたんだきものを入れて、静かに押し洗いして軽く脱水します。干す時はきものハンガーなど肩が真っすぐになるものにかけてシワをのばし、風通しのよい日陰に吊るして乾かします。木綿は3~4回まで洗濯するたびに縮み、トータルで縦が約5~7cm縮むので、あらかじめ仕立てる時に身丈を5~7cm長く仕立てておくと、ちょうど良い長さになります。

シルクウール

着る時期 10月〜6月半ば

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  • 着こなし、はてな?
  • お手入れ、はてな?

絹が入っているので上品な光沢とやわらかさがあり、帯の格しだいでカジュアルにも、華やかな場所にも着て行ける応用範囲の大変広いきものです。塩瀬の帯や八寸名古屋帯を合わせれば観劇、音楽会、クラス会などにも着ていけます。

「三勝」のシルクウールの良いところは、バリエーションが豊かで手入れが簡単なこと。
小物は、きものと同系色を選ぶことをおすすめします。帯締の色をポイントにして帯揚げより少し華やかな色目にすると上品で若々しい着こなしになります。

着た後の点検で汚れていたら、裏にタオルを当て、上から水やベンジンを含ませたタオルで軽くたたいて落せば大丈夫です。
よくウールには虫がつくといわれていますが、その原因は食べこぼしです。着た後の点検はこの辺をよく見て、食べこぼしがあったら前述の様にケアをしてください。もしベンジンでも落せない様な汚れを見つけた時やシーズンが終わった後は、ドライクリーニングに出しましょう。
一部商品には自宅洗濯を可能にする為の湯通し他前加工を施したものもあり、より気軽に楽しめるようになりました。

プロフィール・大久保信子
三勝株式会社の商品開発・着こなしアドバイザーに。
きものスタイリスト・江戸着物研究家の第一人者として有名。
雑誌「きものサロン」「美しいキモノ」「七緒」をはじめ、トークショー等でも活躍する。